普通のきっぷを使いこなす

最終更新日:2003/03/10 
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一筆書ききっぷの使用

片道きっぷは、乗車駅から降車駅まで同じ駅を2度と通らない限り、いくらでも経路を指定することができます。つまり、東京-名古屋間を横浜-静岡と東海道本線経由でも、甲府-塩尻-中津川と中央本線経由でも長野新幹線-長野-松本-中津川と長野新幹線、中央本線経由でも買うことができます。もちろん、大回りすれば運賃は高くなりますが・・・

ところで、運賃単価(キロあたりの運賃)は距離がのびればのびるほど安くなって行きます。つまり、長距離の片道キップになればなるほど割安なわけです。これを遠距離逓減制といいます。

有名な例としては東京-金沢間があります。

東京-金沢(長岡経由往復):15,960円
東京-金沢(米原経由往復):16,830円(往復割引適用)
東京-長岡-金沢-米原-東京:13,130円
どうでしょうか。原則として、片道きっぷの距離が伸びれば伸びるほど割安になることを覚えておきましょう。

詳しくはこちら(トピックス10・一筆書ききっぷを使いこなそう)をご覧ください。

往復割引の利用

往復きっぷには往復割引があります。片道601キロ以上になると、片道ずつ1割引になります。
これをうまく利用したのが有名な「東京都区内〜神戸市内の往復」でしょう。
東京都区内-神戸市内往復:18,060円
東京都区内-西明石:16,820円(往復割引適用)
距離が長くなっているのに、安くなっています。

<< 往復で金額が変わることも >>
往復きっぷの場合、往復割引になる場合も含め、基本的にはゆきも帰りも同じ金額になってしまうので、片道運賃の2倍が往復運賃になると考えがちですが、だいたいはあっているものの、そうともいえない部分もあります。

それはさきの大阪〜博多間など、新下関〜小倉〜博多間が含まれる場合です。大阪〜博多間を例にとると、新幹線経由の場合はJR西日本ですから、片道9,350円(1割引で8,410円)、在来線経由の場合、下関〜博多間がJR九州になり、若干割高になって片道9,500円(1割引で8,550円)になります。まあ、あまり差は出ないのですけど・・・
<< 宮島連絡線も含みます >>
往復割引のキロ計算に宮島航路(片道1.0キロ)を加えることも出来ます。もちろん往復割引になった場合は宮島連絡線の運賃も片道につき、170円から150円と1割引されます。
<< 陥りやすい罠・・・盛岡〜八戸間 >>
2002年12月の東北新幹線八戸開業で往復割引に「罠」ができてしまいました。

よくあるケースとして、上野〜函館間を行き「北斗星」帰り「白鳥」+「はやて」にするケースがあると思いますが、この状態で上野〜函館間の往復乗車券を買っても600キロを超えているにもかかわらず往復割引になりません。
それは、行きは盛岡〜八戸間を第三セクターで、帰りを東北新幹線にしているためです。経路が違うとみなされ、本来往復乗車券が成立しません。
往復「北斗星」もしくは往復「はやて」ならば往復割引です。こんなところにも三セク分離の影響がでてしまってますね。


分割買いで安くなることも

A→Bのきっぷを直接買うよりも、A→C→Bと途中できっぷを分割することにより、安くしてしまおうという考え方です。考え方には3パターンあります。
ただ分割購入はかなりの技術と洞察力を要するので、初心者向きではありません。
  1. 特定運賃が間に入っている場合
    東京、名古屋、大阪には実際に営業キロで算出された運賃よりも安い区間があり、「特定運賃」と呼ばれています。区間内にこの「特定運賃」区間がある場合、分割すると安くなることがあります。

      例)大阪〜大津間の運賃
    • 大阪〜大津間:運賃940円
    • 大阪〜京都間の運賃:540円(特定運賃)、京都〜大津間の運賃:190円、合計:730円

    「特定運賃」は、時刻表でどの区間が設定されているかわかります。

  2. 営業キロがギリギリの場合
    運賃は10キロ刻み、20キロ刻み、40キロ刻みといった「階段状に」増えていきます。
    ですから単純に考えると、たとえば「101キロ以上〜120キロ」の運賃区分の場合、その区間は同じ値段なので、101キロだと割高、逆に120キロだと割安になります。
    これを上手く使うと安くなることがあります。

      例)東京〜熱海間の運賃
    • 東京山手線内〜熱海間:運賃1,890円(104.6キロ)
    • 東京〜大井町の運賃:160円(9.2キロ)、大井町〜熱海間の運賃(95.4キロ):1,620円、合計:1,780円

      ※ この場合、大井町でなく品川で分割すると、品川〜熱海の乗車券にはならず、「東京山手線内〜熱海」の乗車券となり、割高となります。なぜこうなるのかは次を見てください。


  3. 大都市駅からの乗り越しの場合
    長距離きっぷの場合、きっぷを買うと「東京都区内」とか「札幌市内」などと書かれたきっぷを渡されることがあります。

    これは指定されたエリアの中心駅から201キロ以上離れた駅までの乗車券は「○○市内」と記載して、運賃はその中心駅までの運賃が適用されます。たとえば東京→大阪だと「東京都区内→大阪市内」のきっぷとなり、運賃は東京駅から大阪駅までの運賃が適用されますが、実際は東京都区内のどこから乗ってもかまわず、また大阪市内のどこで降りてもかまいません。
    大都市は駅が多いため、運賃計算を簡単にするためにこの制度があるようです。全国11の都市(主に政令指定都市)が指定されています。

    ただ、東京だけは201キロ以上の「東京都区内」と101〜200キロの「東京山手線内」の2段階に分かれています。

    さて、このきっぷで乗り越した場合ですが、その場合「きっぷの外縁の駅からの乗り越し運賃をいただく。」ということになっています。
    これをうまく利用すると安くなることがあります。

      例)東京〜堺市間の運賃
    • 東京都区内〜堺市間:運賃8,720円
    • 東京都区内〜大阪市内間の運賃:8,510円、杉本町〜堺市間の運賃:120円、合計:8,630円
      (杉本町は大阪市内の外縁の駅)
<< 乗り越しの罠 >>
乗り越し区間の運賃の計算方法は、東京・大阪・福岡の近郊区間内の乗車券や原券(もとのきっぷ)が100キロ以内の短距離きっぷの場合と、それ以外の長距離きっぷなどの場合では扱いが異なります。

近距離きっぷの場合、A駅からB駅のきっぷをC駅に乗り越した場合、A駅からB駅までの運賃と、A駅からC駅までの運賃の差額を支払うことになります。
だから上記の例で、大阪〜京都間のきっぷを持って車内で大津まで乗り越すと、大阪〜京都間の運賃540円と、大阪〜大津の運賃940円の差額400円を取られてしまい、分割した意味がありません。
このため、この場合で安くするためには、あらかじめ「大阪〜京都」「京都〜大津」のきっぷを用意するか、京都でいったん降りる必要があります。

逆に長距離きっぷの場合、手持ちの乗車券の着駅から乗り越し駅までの運賃を支払うことになります。
3番目の例のように、「東京都区内〜大阪市内」の乗車券から堺市まで車内で乗り越し清算を申し出た場合は、杉本町〜堺市間の運賃120円を支払うことになります。


難度の高い技・・・方向変更

方向変更の例 これが使いこなせる人はそういないと思います。逆に日常的に使っていたら、かなりきっぷに精通していると思います。

そもそも方向変更とは?
「方向変更」とは、乗車券を使い始めてから、その乗車券の末端部分の行き先を変更することです。
例えばA駅からB駅を通ってC駅のきっぷを持っている人が、途中でB駅を通ってC駅ではなくD駅に行きたい場合があります。
このときは区間変更として車掌などに申し出て変更してもらいますが、行き先の方向が変わるのでもっぱら「方向変更」と呼んでいます。

方向変更での運賃計算の仕方
前提条件として、「すでにきっぷを使い始めていること」が条件です。使用前の場合は変わってきます。

東京・大阪・福岡の近郊区間内の乗車券や原券(もとのきっぷ)が100キロ以内の短距離きっぷの場合は、変更前きっぷの全区間の運賃と変更後のきっぷの全区間の運賃の差額を支払います。(発駅計算)
変更後のほうが安くなっても払い戻しはなく、変更後のほうが高くなると差額を支払う必要があります。

    例)「岐阜〜名古屋〜大府」のきっぷの行き先を「岐阜〜名古屋〜多治見」と多治見に変更する。
  • 岐阜〜名古屋〜大府間普通運賃:820円
  • 岐阜〜名古屋〜多治見間普通運賃:1,110円
差額:290円が必要

では、長距離きっぷの場合はどうなるのでしょうか?
この場合は乗るつもりで乗らなくなった部分の運賃と、新たに乗ることにした部分の運賃を比較して、差額を払うことになります。(打切計算)
変更後のほうが安くなっても払い戻しはなく、変更後のほうが高くなると差額を支払う必要があります。

言葉だけではわかりにくいので、実例を。
    例)「東京〜京都〜千代川(山陰本線)」のきっぷの行き先を「東京〜京都〜大阪」と大阪に変更する。
  • 京都〜千代川間普通運賃:480円
  • 京都〜大阪間普通運賃:540円
差額:60円が必要

つまり、分岐駅となる京都から先の運賃を比較してその差額を支払っているわけですね。

方向変更で安くなる?
さて、上の「東京〜千代川」のきっぷの行き先を「大阪」に変更する、でちょっとピ−ンと来た方はおられませんでしょうか?
  • 東京〜千代川間普通運賃:8,190円
  • 東京〜大阪間普通運賃:8,510円


・・・で、千代川行きのきっぷを大阪に変更すると、上の方法で60円を加算すればいいわけだから・・・

はい、もうおわかりですね。つまり東京〜大阪間を8,190+60=8,250円と、まともに買うよりも安くなってしまいます。
なんか不思議な話ですが、もちろん不正乗車ではありません。

難易度はかなり高いです。ですが、一応ちゃんと「安く」はなります。上級者の中にはこれをあたりまえのように使ってくる方もおられます。

ただし、いまいちわかりにくいため、駅員の中でもこの方向変更の打切計算のルールを知らない方がいます。
また、初めてこのことを知った人はたいてい?な顔をしますが、その通りでどこか胡散臭い部分があるのも事実です。

こういうテクはリスクもあることを考えておこう。

当然こういうテクがあるということは、リスクも抱えていることを理解する必要があります。
それは「きっぷとは何なのか?」というのを考えると自ずからそのリスクがわかるはずです。

きっぷとは契約書である
きっぷは支払った代金と引き換えに、示された券面の駅まで運送してくれることを示した「契約書」である、と考えられます。
つまり、鉄道会社はきっぷに書かれた券面の駅までは運送しなければならない義務を負い、もし無理な場合は無手数料で払い戻しというのが大原則です。

途中で天災などで列車が運休してしまった場合、無料で出発駅に戻れるという無賃送還というルールがあるのですが、きっぷを分割して使用しているとき、無賃送還は現在使用している券面の出発駅までです。「つながっている」と言っても認められません。
また、無賃送還の場合、出発駅から最終途中下車駅までの運賃を差し引いて払い戻し(途中下車がなかったら全額払い戻し)ですが、分割すると払い戻しは当然現在使用しているきっぷの分しか受けられません。

また、運休しているとき、その区間の乗車券は発売しないというのがルールですので、京都〜大阪間が運休になったとき、東京〜千代川のきっぷを大阪に方向変更はできません。変更できないので、振替輸送も受けられず、阪急などで移動しても自腹を切らないといけないことになります。

テクニックを駆使すると安くはなるものの、その分リスクを抱えておくことを十分承知の上で実行してください。
また、こういうテクを人に教えるときは必ずリスクについても教えておきましょう。いざトラブルに巻き込まれたとき弱くなりますからね。


1、基本〜きっぷの種類
2、普通のきっぷを使いこなす〜とくとくきっぷが「トク」とは限らない〜
3、フリーきっぷを使いこなす〜
4、特急料金を考える〜ちょっとした工夫で節約できることも。
5、とくとくきっぷのあわせ技のすすめ
6、「大都市区間通過の特例」、「選択乗車」〜別の経路をたどることができる不思議



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